骨粗鬆症の治療薬(骨を丈夫にするための薬)としてビスホスホネート製剤は現在数多く処方されています。この薬は治療に大変効果があるとして処方される機会も多いのですが、薬剤の吸収があまりよくないため空腹時(多くは、起床時のお腹がからっぽの状態の時)に服用しなければならず、服用方法が煩わしいのが難点でもありました。
現在ビスホスホネート製剤は毎日服用する薬剤から週に1回服用する薬剤、そして今年10月には4週間に1回服用すればよい薬剤が発売になり、服用する回数が少なくて済むことから煩雑さが改善されています。
4週間に1回の服薬が忘れずに行えるよう、製薬メーカーより薬剤を入れるホルダーを提供していただき、当薬局でも薬剤と一緒に患者様にお渡ししていました。このホルダーは薬剤を入れるポケットと磁石が付属しており、冷蔵庫に貼り付けたりカレンダーに吊るしたりすることができるようになっているのですが、薬剤と間違えて磁石を服用してしまう事例が出てしまったという報告がありました。この報告を受け、ホルダーの回収を呼びかけている矢先の出来事でした。
「骨の薬が飲みにくかったので、半分に割って飲んでもいいか次に薬局に行ったときに聞こうと思っていたの。何だか磁石みたいで…」
相談を受けた時に『これは!!』と思いました。詳しくお話を聞いてみると、やはり磁石を服用してしまったようでした。すぐに製薬メーカーに連絡して対応について確認したところ、服用後の経過からおそらく磁石は体内には残っていないだろうとの判断でした。幸い患者様に健康被害はなく、そのまま経過をみることになりました。
全国で同じようなケースが20例ほど報告されていますが、健康被害の報告は今のところ1件もないそうです。山梨県では初の報告だったそうです。
今回のケースは、製薬メーカーが服薬の補助のため良かれと思ってしたことが裏目に出てしまった事例ですが、実際に対応することで『薬を扱う』ということの奥深さを改めて実感させられました。
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